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2013年1月

鬼平犯科帳 '69 第三十二話

まじめの新助

Photo監督: 小野田嘉幹 原作: 池波正太郎 脚本: 井手雅人

出演: 松本幸四郎 (長谷川平蔵) 平田昭彦 (天野甚造) 竜崎勝 (酒井祐助) 市川五百蔵 (竹内孫四郎) 池田駿介 (山田市太郎) 北川陽一郎 (山崎国之進)

ゲスト: 吉行和子 (お才) 本郷淳 (佐々木新助) 池田忠夫 (文挟の友吉) 野口ふみえ (お米) 天草四郎 (網切の甚五郎)

Photo_2Photo_3 妻お米(野口ふみえ)と二人の子に恵まれ、同心仲間から「まじめの新助」と呼ばれる男、火付盗賊改方同心・佐々木新助(本郷淳)、三十俵二人扶持は、ある日町中で掏摸を捕らえた。盗賊相手の捕り物でも刃物は使わず、ひたすら腰にへばりつきスッポンのように離さないという体である。与力の天野甚造(平田昭彦)からは「お前は良い女房殿を貰った」と褒められるほど仲の良い夫婦であった。

Photo_4 新助の見回り先は、本所・深川界隈であった。ある日、富岡八幡境内の門前にあるあまざけ屋「恵比須屋」の茶酌み女“お才”(吉行和子)を見初めてしまい、以来ずるずると深みにはまっていくのである。

 平蔵は、役宅から見回りに出る佐々木に声を掛けた。今日は渋谷界隈への見回りに行くという佐々木に、「最近、渋谷界隈に不逞の浪人どもが立ち回っているらしい。用心するように」と言いながら、佐々木に何か不信なものを感じ取っていた。

Photo_5 平蔵は同心の竹内孫四郎(市川五百蔵)に市中見回りの共を言い付け、本所・深川界隈への見回りに出た。すると、渋谷界隈への見回りに出たはずの佐々木が八幡門前のあまざけ屋から女と出て来る所を見逃さなかった。共の竹内に、「茶酌み女を連れ出すのに相場はどれくらいなのか」と問うと竹内は「一分もあれば良いかと思います」と答えた。平蔵は、一分では暮らしに障りがあるなぁ、と独り言を言った。

Photo_6 佐々木とお才は連れ立って料理屋へ入り、二階へあがって行った。階下の小部屋からそれを窺っていたのは文挟の友吉(池田忠夫)という盗賊の一人であった。夜になって部屋へ忍んで来る者がいた。昼間、階下で様子を窺っていた文挟の友吉である。それに気づいた佐々木に、「騒ぐな、木っ端役人。こんな所を見られたら大変な事になるんじゃねえんですか」と脅すのであった。そしてお才はそれを布団の中で声を押し殺して笑っているのである。ここまで来て初めて佐々木はハメられた、と気づいたのであった。友吉は「あの女はねえ旦那。あっしらの親分で“網切の甚五郎”(天草四郎)って大泥棒の女房なんですよ」と言い出した。

Photo_7 勇吉は「旦那に、あっしらのお手伝いを頼みたいんですよ」と言う。そして、半年ほど後になって新たな盗賊一味が跳梁するようになった。三件の残忍な押し込みは、どれも内からの手引きがなかったのである。しかも火盗改メの探索によっても未だに何者の仕業なのか見当も付かぬ有様であった。与力、同心らの報告を聞いた後、平蔵は「見回り日誌」と書かれたものを差し出して見せた。それによると、押し入った日と見回りの日取りに関連がある事を平蔵は指摘した。火盗改メによる見回りの区域の日程が漏れたとすれば、内部に内通者がいると見るのが妥当である。翌日からの見回り区域の大幅な変更を与力・天野に命じたのであった。だが、平蔵の機転に依る計画もまんまと裏をかかれてしまった。

 これにより、内通者が火盗改メ内部にいる事が明白になった。だが、平蔵は信じたくなかった。そして、「今夜からの見回りは止めにせい! 儂が直々にその都度暮れ六つに指示する」と天野と酒井に言い渡した。こうして、ようやく盗賊どもの跋扈は形を潜めたのである。

Photo_9 友吉と料理屋で密会していた佐々木は、友吉が差し出した金を拒んだ。そして己の所行が平蔵に見透かされているという危機感から、もうこの一件から手を引くと言い出したのであった。だが、あの手この手を使って佐々木を逃がそうとはしないのである。その晩もお才と床を共にし、長屋に朝帰りした佐々木は「お頭様から節句人形を頂きました。奥方自らお持ち下さったのですから、忘れずにお礼を申して下さい」と妻から言われた。

 節句人形を貰った礼を述べに来た佐々木の挙動が普段と違う様子を見て取った平蔵は、酒井と竹内を呼んだ。佐々木は役宅内には居らず、長屋にも居ないと言う。すぐさま竹内に、佐々木新助と馴染みの富岡八幡境内のあまざけ屋の茶酌み女を引っ捕らえて参れ、だがこの件は誰にも漏らすなよ、と厳命した。そして天野以下、当直明けの同心を総動員するのであった。また酒井には、粂八・伊三次に命じて佐々木新助の居所を探させるよう命じた。時は寸刻を許さぬ状況を呈して来たのである。

Photo_12 その頃、佐々木新助は友吉と密会に使う料理屋へ友吉を呼び出し、偽の見回り区分の書き付けを渡した。今夜にも網切の甚五郎一味が押し込みを掛けると睨んだ。佐々木は友吉の後を尾け、一人で決着を付けるつもりになっていたのである。神田白壁町、油問屋伊右衛門方、網切の甚五郎の盗人宿を突き止めた佐々木新助は火盗改メ役宅へ遣いをやり、盗人宿の場所をしたためた手紙を届けさせていた。そして急襲した火盗改メによって網切の甚五郎一味は捕縛、または斬殺された。

 佐々木新助は、逢瀬を重ねた料理屋の二階へ出向くとそこにはお才が待っていた。お才を脇差しで刺し、階下へ逃げたお才を追ってお才に重なるようにして新助も自害して果てた。平蔵の覚え書きには、「火附盗賊改方同心、佐々木新助儀。兼ねて探索中の盗賊・網切の甚五郎一味の探索中に殉死……」とある。

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