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鬼平犯科帳 '69 第二十三話



Photo_32監督: 野長瀬三摩也  原作: 池波正太郎  脚本: 桜井康裕

出演: 弓恵子 (おきん) 宮坂将嘉 (玉屋平兵衛) 稲垣隆史 (音吉) 柳谷寛 (弥五郎) 伊藤惣一 (鎌吉) 橋爪秀雄 (与七) 神木真一郎 (酒巻重八) 瀬良明 (寿司屋の親爺) 渡辺千世 (茶屋のお女将)

Photo_33【ものがたり】 深夜の街を火盗改メが賊を追っている。料亭“玉屋”の奥座敷では、主の平兵衛(宮坂将嘉)と女房のおきん(弓恵子)が寝ていたが、物音に気づいた平兵衛が襖を開けると、そこには盗賊の一人が、「見逃してくれ、後生だから」と震えている。そこへ火盗改メが詮議のためやってPhoto_34来たと告げる声がした。黒装束の男を押し入れに隠し、平兵衛は店へ出て行く。残ったおきんに押し入れから顔を出し、ニヤリとしている。おきんは驚いた。盗人は音吉(稲垣隆史)といい、麦めし茶屋“赤大黒”の酌婦だったおきんと、地回りのならず者であった音吉との奇妙な巡り会いであった。

 凶悪な盗人“百足(むかで)の秀五郎”を追い込んだのだが、一人として捕縛出来ず取り逃がしてしまった同心・酒井は長谷川平蔵に詫びていた。「密偵を全員集め、秀五郎の探索に充てろ。火附け、押し込み、惨殺と、これ以上の跳梁は許さん!」と酒井に命じた。

Photo_35 玉屋の主人・平兵衛は、外出しようとして、おきんに「早く帰ってください。夕べのような事のあった後で、怖い」と言われた。平兵衛が出かけた後、音吉が現れ、おきんを強請ろうとするが、「昔のような訳にはいかない。旦那様はすべてを知った上であたしと一緒になったんだ」というと、右の二の腕の二筋の入れ墨を見せ、「これは誰のために出来たと思うんだ」と凄む。「おめえが俺を売ったおかげで、三年の島送りになったんだ。おめえの朋輩からちゃんと聞いたんだぜ」と言った。平兵衛を殺れ、と言いだし、「平兵衛が死ねば玉屋の身代はおめえのPhoto_39 物だ。一緒に存分に楽しもうぜ。承知するなら段取りは俺が付けてやる」と誘うが承知しない。「おめえの両親は六ツの時に盗人に焼き殺されたんだってなぁ。おめえだけ親戚の家に泊まっていて助かったっていうじゃねえか。その下手人は平兵衛なんだぜ」と言われ、驚くおきん。「俺だって、この道に入って初めて知ったんだ」と言った。また、「麦めし屋に鎌吉という男が出入りしている。この男は金で人殺しを請け負う“五日目の鎌吉”と異名をとる男に頼めば、五日の家には殺ってくれるぜ」とたたみ込み、「仇の男に抱かれて、くやしくないのか」ととどめを刺した。

Photo_40 呆然としたまま店を出たおきんは、橋の上まで来ると下駄の鼻緒が切れた。そこへ病気のはずの弥五郎がやって来た。平兵衛は嘘までついて何処へ出かけたんだろう、と一つの疑いが、次の疑いを呼んだ。毎日線香をあげている仏壇も、火付けで死んだ者たちへの供養のつもりなのか。おきんを抱いている時も片時も離さない脇差しは、何かを誰かを恐れて離さないでいるのか……と。

Jpg_3 女房になって二年が経っていた。おきんは両親の墓に参っていた。そこへ平兵衛が「明日は、十五年前に店を出した縁起の良い日だ。お前にも帳場に座ってもらおうと思う」と言い、「いきなり帳場へ座らせたのでは、奉公人たちに苛められたりして、お前が出て行くなどと言いだしゃしないかと今日まで延ばしていたんだ。でも、もう奉公人たちとも馴染んだし良いんじゃないかと思う。最初から玉屋の身代Photo_41Photo_54はお前に全部譲るつもりでいたんだから」と言われ、泣きじゃくるおきん。その帰り、花屋の弥五郎のところへ寄ろうと二人でやって来たが、丁度侍が妻女を連れて見せに来ていた。その武士の印籠を二人が見ているとも知らず、掏摸取ったのだが、武士に知られてしまい斬られようとする所へ平兵衛が武士に体当たりし、印籠を弥五郎の手から奪って走り逃げてしまい、おきんはただ呆然と立っている。

Photo_42 渋川の与七(橋爪秀雄)と音吉が連れ立って寺の門前から入って行く。与七は百足の秀五郎の片腕、知恵袋といわれる男だった。だが、与七は一早く密偵の伊左次が居ることを察知し、音吉に「逃げろ!」と言い、自Photo_43 分も逃げる。伊左次は火盗改メへ出向き、深川不動横の新兵衛店で、秀五郎の身内の与七と音吉を見かけたが逃げられてしまった、と報告した。その時、「玉屋」という言葉を数回聞いたとも言った。同席した酒井は「下谷・広徳寺門前の料亭です」と付け加えた。

_2 おきんは、麦めし茶屋で鎌吉に会い、平兵衛殺しを百両で依頼した。その晩、平兵衛はおきんに「儂は、二十年前に弥五郎と組んで尾張・三河から美濃にかけて荒らし回った盗人だった」と語った。墓参りの後、あのようになってしまい、おきんは口も利いてくれない。平兵衛は居たたまれなくなったのであった。鎌吉に依頼した日から四日間平兵衛は家から一歩も出ず、五日目に同業の寄り合いがあるといって大川端の料亭へ出かけて行った。弥五郎が玉屋に現れ、「旦那様がPhoto_44私を見舞ってくれたと言って外出した日、実は向島へ寮を買いに行きなさったのだ。おかみさんの名義でね」というが、「もうそのような甘い言葉には騙されない。帰っておくれ」と取り付く島もない。平兵衛は、寄り合いの帰りに雨であったが寿司屋へ寄り、駕籠を呼んで帰った。その後を尾ける男が一人。おきんは、仏壇の前に座り、自分の喉を出刃包丁で刺そうとしている所へ、女中が「旦那様がお帰りになりました」と知らせた。

Photo_45  おきんは、麦めし茶屋へ行ってみた。女将に鎌吉の住まいを聞こうとすると、一昨日愛宕下で野良犬に噛まれたのが元で狂い死にした、と聞かされた。五日目に平兵衛が生きていた事を納得した。暫くして、おきんは晴れて玉屋の帳場へ座った。平兵衛は元は武士で、小野伝十郎という者を斬り、その倅から仇と狙われる身だったのであり、その護身のための脇差しだったのである。

 鎌吉が死んだ、と伊左次が報告にやって来た。鎌吉は玉屋の内儀と麦めし茶屋で会っていた、とも告げる。まだ、平蔵にはそれらの繋がりが分からずにいたのだ。Photo_51
Photo_46 玉屋の女中が、「変な人から預かった」といって、おきんに付け文を渡すと、おきんは店を出た。すると、店先に浪人者が立っている、それを避けて音吉の待つ場所へ行くと、鎌吉より腕の確かなのを見つけた、五十両だとさ、という。驚くおきんに、もう後戻りは出来ない、亭主殺しの相棒だ、と言われる。

Photo_48  店に帰ると、平兵衛はたった今出かけたといわれ、おきんは寿司屋へ探しに行くが、旦那は来ていないと言われて、戻る途中で火盗改メの酒井に呼び止められた。そしてそのまま火盗改メ役宅へ行き、平蔵に事の一部始終を告げ、助けを乞うのであった。平蔵は「そなたの両親を焼き殺したのは平兵衛ではない。荒綱の鴇(とき)という盗人で、一昨年に布田の宿で野垂れ死にした。平兵衛の仕業などと音吉が作り話を吹き込んだのだ」とおきんに告げた。その頃、平兵衛は弥五郎の家に居た。だが浪人者に尾けられており、弥五郎の家からの帰り道を待ち伏せされたのだが、逃げ伸びて弥五郎の家へ戻った。弥五郎はPhoto_49玉屋へ赴き、「旦那様はもうここへは戻らない。有り金を持って、明後日に大井の六地蔵で待っている、と言いなすった」と言う。おきんは弥五郎に、このまま火盗改メ役宅に出向き、すべてを話してくれるよう涙ながらに頼んだ。すると弥五郎は「そんな事をしたら一生島送りか、悪くすると磔・獄門だ」と言うと、「あたしと旦那様はこのままじゃ添い遂げられない。逃げたって同じ事、いつかは捕まる。それならあたしも一緒に死ぬ覚悟でいる」と打ち明けられ、弥五郎も観念した。

Photo_52 二日後、おきんは旅支度で店を出た。近くのめし屋で飲みながら、与吉と音吉、それに人殺しの浪人がおきんが通るのを待っていた。おきんを尾け、二人が出合った六地蔵で、いきなり浪人が斬りつけた。助けに入ったのは火盗改メ方の長谷川平蔵であった。音吉も加勢するが、容赦するな! との平蔵の言葉に、酒井は音吉をPhoto_53斬殺、平蔵も浪人者を斬って捨てた。観念した平兵衛は、「お手数をお掛け致しました」と神妙に腕を出したが、「浪人者は仇ではない。ただの人殺しだ。信州の高藤の浪人で酒巻重八という手配の者だ」と告げ、「恵比須の平兵衛の罪は、二十年の歳月がとうに洗い流しているさぁ」と粋な計らい。伊左次が引いてきた馬に跨がり、酒井と共に駆けて行った。

【あとがき】ストーリーは良いのですが、話の辻褄が合わないという箇所が何度も出て来ます。もっとも一時間足らずの番組ですから、仕方ないのでしょうが、もう少し緻密に計算された脚色が欲しかった、と感じた作品でした。

Photo_55 玉屋平兵衛役の宮坂将嘉は、往年の二枚目俳優“菅原謙二”さんにそっくりです。菅原さんは吉右衛門版では、「盗賊二筋道」で高萩の捨五郎という良い役所で出演しています。

 弓恵子さんも、娘役から悪女までこなした有名な女優さんです。

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