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鬼平犯科帳 '69 第二十四話

八丁堀の女

24監督: 高瀬昌弘  原作: 池波正太郎  脚本: 柴英三郎

出演: 松本幸四郎 (長谷川平蔵) 竜崎勝 (酒井祐助) 古今亭志ん朝 (木村忠吾) 堺左千夫 (伊左次) 北川陽一郎 (山崎国之進) 市川五百蔵 (竹内孫四郎)

ゲスト: 柏木由紀子 (美代) 石浜朗 (松尾仙之助) 郡司良 (本庄源八郎) 小園蓉子 (お欣) 清水彰 (大丸屋万兵衛)

PhotoPhoto_11【ものがたり】 火盗改メの酒井と木村が木綿問屋“三澤屋”へ賊が押し入り、夫婦と奉公人十三人が皆殺し、という報に現場に駆けつける。犯行は半刻ほど前、まだ気配が残っているはず、と酒井は言う。だが、すでに北町奉行所の高張り提灯が掲げてあり、店へ入ると北町奉行所の同心・松尾仙之助(石浜朗)が高飛車に「用向きを伺おう」と酒井に言う。酒井は「一家皆殺しと聞いた。死体を検めたい」というと、松尾は「死体はすでに当方で片付けた。まず死者を弔うが人情である。そこが火盗改メと町方との違いなのだ。早々にお引き取り願おう」と、取り付く島もない。木村は松尾の態度に怒りを酒井にぶつけた。

Photo_2 その日のうちに、火盗改メ役宅へ北町奉行所の与力・本庄源八郎(郡司良)がやって来て平蔵に、「賊は五百両余りを持ち去ったが、殺された十三人が一滴の血も流さず、絞められた跡もなく、毒を飲まされた形跡もない。火盗改メの援助を乞いたい」と丁重に言った。酒井が「もしや……」と平蔵に言うと、平蔵も頷き、本庄に「針です」と告げた。本庄は、火盗改メの情報の多さに驚いた。早速、酒井と木村が三澤屋へ赴くと、松尾がいた。与力の本庄殿からの依頼で、死体を検めると断り、二人はさっそく検分を始め、「やはり……」と酒井が呟き、「こっちもです。」と木村が言う。事件が起きた八丁堀は、与力・同心などの居住地で、武家地なのだが町人との接触が多く、俗に言う「八丁堀風」という特殊な風俗を作り上げていた。いわば人間たちが粋なのであった。

Photo_3Photo_5 酒井と木村は、本庄の屋敷を訪れ、「死因は、針でうなじの急所を一突き。この手口は、下野(しもつけ)一体を荒らし回る盗賊“死針(しにばり)の五郎蔵”一味の仕業に違いありません」と報告した。そこへ娘の美代(柏木由紀子)が茶を持って現れた。酒井があまりの美しさに見とれていると、横で木村がにやりとしている。

 日を空けずに、日本橋小室町の木綿問屋“叶屋”が襲われ、十一人全員が針で殺害され、金二、三百両が奪われるという事件が起きた。本庄は、「下野国・真岡(もおか)が死針の五郎蔵の本拠地と聞き及びますが、真岡は木綿の産地ですな」と平蔵に言う。下野国・真岡は現在の栃木県真岡市である。

Photo_4  火盗改メ役宅へ密偵の伊左次がやって来たが、死針の五郎蔵の手掛かりがまったく掴めない、何も臭わない、と報告した。伊左次を下野に行かせてみる。二軒立て続けに木綿問屋が狙われたことが平蔵には気になった。酒井を伴い、江戸で木綿を市価より安く商っているという、もう一軒の木綿問屋“大丸屋”の様子を覗いに行くと、店から女が出て来た。「身のこなし、目配り、ただ者ではない。何か臭う」と平蔵は酒井に女を尾けさせると、女は吾妻橋を渡り、墨東の道を雨乞いで名高い向島の“見回り稲荷”の手前で右に折れ、武家や富裕な商人の妾宅が密やかに点在する中の一つの寮へ入って行った。

Photo_6 平蔵は、店の前で女どもが木綿を買い漁る様を見ていると、店の主・大丸屋万兵衛(清水彰)が「火盗改メの長谷川様が直々にお出ましになるとは……」と声を掛けてきた。座敷に通された平蔵が「まるで、儂を見知っているようだな」と、「問屋仲間の競争が激しいと聞き及んでいる」と言うと、万兵衛は「商売敵きを斃すため、賊の名を騙って二つの店を襲わせた。とお疑いなのですか」と言い出した。平蔵は「なるほど、そういう見方も出来るな。だが、儂は自分の目で確かめぬ内は人を疑わぬ男だ」と言い残して去った。

 伊左次が下野から帰り、報告に現れた。それによると、「ようやく動きが分かりました。五郎蔵は半年前に江戸にやって来たが、女連れらしい。真岡で水商売をしていた“お欣”(小園蓉子)という艶年増だそうです」という事が分かった。平蔵は、あの女だなと推量し、伊左次に寮の見張りを命じた。しばらくすると、伊左次が「あの女は、小菅の外れの荒れ小屋へ。見張りの男は間違いなく“死針の五郎蔵”の手下でした」と報告にやって来た。五郎蔵の隠れ家と認めた平蔵は、与力・本庄へ知らせてやれ、と酒井を差し向けた。本庄の口上は「長谷川平蔵様、直々にご出馬され同席願いたい」というものであった。さっそく北町奉行所と火盗改メ合同での出役となったが、平蔵は酒井に「どうもおかしい、妙に芝居臭い。この捕り物は儂に何かを見せつけようとしている節がある」と言い出した。

Photo_9 小屋の中には男が一人脇腹を刺され殺されていた。伊左次に面体を検めさせると、“死針の五郎蔵”に間違いない、という。空の金箱が転がしてあり、本庄は「これは金の分配で殺されたものに相違ない」と断じ、「殺されてまだ間がない、近くを探せ」と命じた。だが一人も見当たらない。すると小屋の中には抜け穴があると分かった。今まで誰も小屋から出てこなかった、という伊左次と火盗改メは面目丸つぶれである。が、与力・本庄は火盗改メらを責めなかった。お調子者の木村忠吾だけが本庄殿は立派な方だ、と褒めちぎっているのだが、平蔵は「この一件、与力に任せてはおけぬ」と呟いた。死針の五郎蔵の体は窶れ果て、手足には縛った跡、長いこと監禁されていた証拠だ、と平蔵は言う。

Photo_10 酒井と伊左次が“お欣”を見つけた。祭りで賑わう境内へ紛れ込み、御輿の小屋へ入って行った。するとそこには与力・本庄が待っていたのだった。お欣は本庄に江戸を出るための四人の子分たちとの手形の手配を頼み、「金はたっぷりあるんだし、良い家を見つけておきます。半年先にはきっと来てくださいね」と鼻声を出してねだっている。本庄は、五年の寡婦暮らしの末、据え膳を喰った盗人の情婦“お欣”と通じ、二件の押し込みを黙認、大丸屋の商売敵きを消す事により商いの独占を幇助し、娘には同心・松尾を養子に迎え、己は隠居をしてお欣と他国でのんびり生きながらえよう、と勝手な絵図を描いていたのであった。が、こうして絡繰りは平蔵と酒井の知る所と成った。

 火盗改メ役宅へ本庄の娘“美代”が訪れ、何事にも控えめな酒井に代わり自ら酒井との婚儀の話を持って来たのであった。用部屋にいた酒井に「美代殿が参っている。祭りにでも連れて行ってやれ」と言い、「本庄源八郎のことは儂に任せろ」と言った。

Photo_8 平蔵は単身、本庄の屋敷へ行くと、本庄は手形を隠した。平蔵は「おぬしも親ならば、娘の幸せを考えてやれ」と穏やかに諭した。もはや逃れられぬと観念した本庄は平蔵と共に、盗人どもが集まっている大丸屋の土蔵へ行く。本庄はお欣と大丸屋を追い、成敗しようとするが逆にお欣の簪でうなじを刺されながらも一太刀を浴びせ、お欣を斃した。他の者どもは平蔵によって全員斃された。こうして、真相は闇へ……と思われたが、本庄はすべてが書かれた遺書を娘に残していた。美代は、亡き母の実家がある三河へ行く、という。こうして、酒井祐助の儚い恋は終わりを告げた。 

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コメント

これは原作なしのオリジナルストーリーのようですね。
以後映像化されてもいないようです。
柏木由紀子さんが可憐でした。

投稿: take9296 | 2012年11月25日 (日) 09時01分

本当のオリジナルですね。強面の同心・酒井祐助(竜崎勝)の“実らぬ初恋”物語です。木村忠吾ですと、“お雪の乳房”“谷中いろは茶屋”ほか、やたら惚れっぽいですから、“可憐”なお嬢様とは、釣り合いませんね。

投稿: 蒼い影 | 2012年11月30日 (金) 06時53分

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